2011年6月 2日 (木)

しばらく中断致します

アクセス有難うございます。

諸事情により、一旦アップデートを中断いたします。

6月中旬を目処に再開致しますので、今暫くお待ち下されば幸いです。


今後ともご愛顧頂けますよう、よろしくお願い申し上げます。

2011年5月19日 (木)

「大相撲の経済学(中島隆信)」


MLBの96年~07年シーズンでニューヨークヤンキースの監督を務めたトーリ氏の、ヤンキース時代の回顧録である。松井秀喜や伊良部、井川が入団したときの監督でも有り、日本でも知名度は高い監督である。

絶対的な経営者で名物オーナーであるスタインブレナーとの折衝、実力も個性もMLBで最も強いメンバーが集まるチームをどのようにマネジメントしてきたか、また最後はチームが下降していくプロセスがストレートに書いてある。


ヤンキースファンだけでなく、またMLBの選手やチームにそれほど詳しくなくても、第6章「MLBの情報革命」は特に関心を抱けるかもしれない。

「マネーボール」出版に伴い、アスレチックスのビリービーンGMの強化手法やセイバーメトリクス(それ以前から知られてはいたが)が、当時のメジャーリーグ各球団にどのような影響を与えたかが、リアルに分かる。

どのような戦略をとるかは各球団の外部環境によってくるし、アスレチックスを必ずしも模倣することが正しいとは言えなくても、かなりの衝撃を与えたという事実が伝わってくる。


かなりのヤンキースファンでないと各シーズンの戦績やシーン、選手の特徴などがすぐに思い浮かばないと思うが、それでもMLBを代表する球団の監督の考え、理念、マネジメントやコミュニケーション手法はどのようなスタイルかを知る上でも楽しめる。

2011年5月18日 (水)

「Jの履歴書(川渕三郎)」

Jリーグ発足と運営の中心人物である、川渕三郎氏による回顧録。(恐らく)日経新聞「私の履歴書」の大幅な加筆修正版だと思う。

日本サッカーの軌跡がこれだけでもわかるが、氏のJリーグを通じた日本サッカーに対する情熱が十分に伝わってくる。


Jリーグ発足前後は問題だらけであったが、「ここまで固有名詞や感情をストレートに書くか」と何度も驚いた。
特にヴェルディやナベツネ氏とのやり取りは、苦笑いしてしまう。
また日本のプロ野球(NPB)はまったく参考にしなかった点(あのようになってはいけないと反面教師にしていることがよく分かる)、読売新聞が撤退するときには「ホッとした」と言っている点なども面白しろい。


意思決定権はチェアマンにあり、自分とJリーグの理念に基づいて判断してきたことは、ビジネスでも経営者が経営理念に基づいて判断するのと同様、経営の書としても十分に支持される内容である。

小生は以前元NHKの杉山茂氏の講義を受けたことがあるが、その中で「川淵さんは日本サッカー界の先輩と喧嘩してでも理念を突き通す覚悟だったから、Jリーグは生まれた」と仰っていた。
読んでいると、様々な利害関係者からプレッシャーを受けても、Noのときは断固として拒否する気迫や執念
は鬼気迫るものがあると感じる。


経営者や管理職だけでなく、幅広いビジネスパーソンの方に受け入れられる内容だと思う。
特に新規事業立ち上げを任された方や起業をしている方は、特に勇気付けられるかもしれない。

サッカーファンは言うまでもなく必読。

2011年5月16日 (月)

28年目のハーフタイム(金子達仁)


1996年アトランタオリンピック、サッカー日本代表を取り巻く周囲やチーム内の現実を描いた作品。

Number掲載の「叫び」(川口能活のインタービュー)で知られざるチーム事情を書き、特定の選手がチームのためではなく個人のためにプレーしていたなど、衝撃的な内容で「よくここまで聞き出せた」と大御所ライターを唸らしたこの作品が生まれた発端である。


選手の悪口や暴露記事では決して無かったものの、本質を誤って理解した読者も含めてあまりの反響の大きさから、改めて多くの人にインタビューを重ねて年末号に「叫び」を掲載し、金子達仁氏はミズノスポーツライター賞を受賞している。

その2作品を加筆修正して、書籍化されたのが本書である。

ポジションによる意識のギャップ、監督と選手を巡る「ハーフタイム」での事件など、チームが最後は崩壊寸前であった知られざる事実、人間模様に圧倒される。


一次リーグでブラジルに勝利するという歴史的快挙を達成したものの、ナイジェリアに敗れ、ハンガリーに勝利したものの得失点差でリーグ突破はならなかった。

しかし、その善戦は日本国内でも十分に讃えられたことは、当時を知る人は覚えていると思う。


小倉という絶対的なキャプテンを予選で失い、前園・中田英寿・川口能活・松田など個性あふれる選手達と西野監督それぞれが「世界」に対する皮膚感覚や目標が異なっていたこと、それが最後まで纏まらなかったことは、決して悲劇でないと指摘する金子氏の考えや本音を引き出すインタビュー力には脱帽である。


組織である以上、どこにもで起こりうる話であり、読者の置かれている環境でも十分に活かせるヒントがあると思う。

尚、参考までに「叫び」は「Sports Graphic Numberベスト・セレクション〈1〉」に収録されている。
私は山際淳司氏の「江夏の21球」と共にNumberを代表する作品だと思っている。



2011年5月14日 (土)

データで読む 常識をくつがえす野球(小林 信也)

プロ野球の各データをもとに、野球ファンなら自然と持ってしまう偏見を検証している本。

「野球の見方が180度変わるセイバーメトリクス」(※1)がセイバーメトリクスの手法全般を丁寧に解説しているのに対し、「野球人の錯覚」(※2)のようにケースに応じて、「本当にその仮説が正しいのか?⇒そうとは言いきれない」とデータを元にその根拠を示している。

データ分析と言っても大変に読みやすく、著者も野球経験がありプロ野球のスポーツライターでもあるので、選手の話や野球経験者がゆえに、疑うことなく抱いていた常識を都度織り交ぜているのも興味深い。


データから読み取れる内容はあくまで著者の主観もある(客観的なデータを用いているとは言え)。
しかし、それは当然でありビジネスでもデータを元に最後は外部環境や会社の戦略、理念をもとに決断するのであり、監督などがそれぞれ違った結論を出しても良いのである。


その中で元ロッテのバレンタイン監督の事例は大変に興味深い。
テレビや新聞では絶対に書かれない采配の根拠やエースの役割などを知ることが出来る。


「野球抄」を出版し、セイバーメトリクスの生みの親であるビルジェイムズ氏は、「野球の見方を面白くする」ことが分析結果を世に広めた理由だという。
新しい野球の醍醐味が見つかるきっかけとなる本である。

※1;野球の見方が180度変わるセイバーメトリクス


※2;野球人の錯覚

2011年5月13日 (金)

楽天野球団のシークレット・マネージメント たった5年で成し遂げた奇跡(島田亨)


楽天野球団の社長による球団創設時から、ブラウン監督就任発表までを社長としての視点で球団の取り組みを振り返っている内容。

チーム強化についてと黒字化経営に向けたスタッフサイドという、経営者としての立場から田尾監督や野村監督交代の理由など、経営判断に至った根拠についても触れている。


リクルートを経てインテリジェンス創業メンバーであり、マネジメントの経験を持つが野球界においては素人である。
プロ野球を利益を生むビジネスにするために、ビジネスライクに仕事をしているイメージが付きまとうために、野球ファンからは必要以上に勘違いをされることが多いかもしれない。

しかし、一年目に黒字化したことが他球団にどれほどのインパクトを与え、パリーグを中心に親会社のプロ野球に対する考え方を大きく変えた実績はあまりにも大きい。
ここからプロ野球の球団経営の在り方は大きく変わった。

※大坪正則氏の「パ・リーグがプロ野球を変える 6球団に学ぶ経営戦略」に詳細が書かれている。


もう少し踏み込んだリアルな現実を書いて欲しかった気もするが、それは次回に期待したい。

また、ブラウン監督を就任させた理由までは書いてあるが、その後一年で契約破棄をして星野監督就任に至ったプロセスも今後是非伺いたい。


ベンチャー企業では理念をもとに事業展開をしていくが、上場企業はもちろん上場準備の段階でも短期的な利益が絶対に求められるために、乱暴かもしれないが利益になるのであれば朝令暮改があっても仕方がない部分はあると思う。

その感覚とプロ野球ファンの感覚はなかなか相容れないこともあるかと思うし、ファンには今回のように本を利用するなりウェブでも何でも良いが、決断に至ったプロセスを少しでも可視化してくれることを期待したい。

それだけ経営が期待されている球団であると思う。



2011年5月12日 (木)

「さらばヤンキース 我が監督時代(ジョー・トーリ/トム・ベルデュッチ)」

MLBの96年~07年シーズンでニューヨークヤンキースの監督を務めたトーリ氏の、ヤンキース時代の回顧録である。松井秀喜や伊良部、井川が入団したときの監督でも有り、日本でも知名度は高い監督である。

絶対的な経営者で名物オーナーであるスタインブレナーとの折衝、実力も個性もMLBで最も強いメンバーが集まるチームをどのようにマネジメントしてきたか、また最後はチームが下降していくプロセスがストレートに書いてある。


ヤンキースファンだけでなく、またMLBの選手やチームにそれほど詳しくなくても、第6章「MLBの情報革命」は特に関心を抱けるかもしれない。

「マネーボール」出版に伴い、アスレチックスのビリービーンGMの強化手法やセイバーメトリクス(それ以前から知られてはいたが)が、当時のメジャーリーグ各球団にどのような影響を与えたかが、リアルに分かる。

どのような戦略をとるかは各球団の外部環境によってくるし、アスレチックスを必ずしも模倣することが正しいとは言えなくても、かなりの衝撃を与えたという事実が伝わってくる。


かなりのヤンキースファンでないと各シーズンの戦績やシーン、選手の特徴などがすぐに思い浮かばないと思うが、それでもMLBを代表する球団の監督の考え、理念、マネジメントやコミュニケーション手法はどのようなスタイルかを知る上でも楽しめる。

2011年5月11日 (水)

「意地を通せば夢は叶う!bjリーグの奇跡(河内敏光)」


bjリーグコミッショナー河内敏光氏による、リーグ設立の構想から設立までが描かれた本である。

Jリーグと違うのは、JABBA(日本バスケットボール協会)やJBL(バスケットボール日本リーグ機構)が発案したわけでも、サポートを受けた訳でもなく、一向に進まないプロ化に業を煮やして自らが立ち上げたということがよくわかる。


日本のバスケットボール強化とより一層の普及を目指して、信念を貫いて実現させた行動力と情熱に圧倒される。
Jリーグでは立ち上げ時、川渕三郎氏が「日本サッカー協会の重鎮達と喧嘩してでも日本サッカーのためにやり遂げる」と、その強い信念が周囲にも十分伝わっていたと元NHKスポーツ放送局長が仰っていたが、そのパワーを上回る執念が読んでいても伝わる。

企業スポーツの限界、そしてbjリーグが目指す地域密着の姿などもJリーグなどを参考にしながら、理念を元にどのように戦略に落とし込んでいるかも理解できる。


スポーツ業界で活躍する人達は、とにかく実現させるための情熱が段違いに強い。改善する、改革する、事業を立ち上げるとはどれほどのモチベーションと執念が必要かということを、他の業種のビジネスに置き換えてみても参考になる。

2011年5月10日 (火)

「野球の見方が180度変わるセイバーメトリクス(データスタジアム)」

セイバーメトリクスとは、「膨大な野球データを統計学の視点から分析することで新たな選手評価や戦術を策定する分析指標全体を指す」というのが概ね定義である。

本書では「計算機とデータさえあれば強いチームを可能であるか」と自問自答しながら、「万能ではないのが有利である」とそれぞれの根拠も明確になっている点で、新旧の野球ファンいずれにも納得していただけるのではと思う。


セイバーメトリクスの生みの親であるビル・ジェイムズ氏が野球分析に取り組んだ真の目的は、「野球の見方面白くすること」だと言う。

確かにデータ分析はチームの勝率向上に役立つだろうと思うと同時に、野球ファンが新しいプロ野球の楽しみ方を知ることで大いに意義があると思う。

セイバーメトリクスを使用して野球の偏見を解く書籍は何冊も出ているが、公式記録のデータ化と分析ツールを提供しているデータスタジアム社によるこの本が、最もよく纏まっている。
セイバーメトリクスについて、まずどんなものか知りたいと言う方には、最も適した本である。


また、先入観や思い込みにとらわれずデータ分析を駆使することで、正しい現実を知って意思決定をするというのは、どのビジネスでも実行されていることである。

もちろんデータは万能ではないが、BI(ビジネスインテリジェンス)ソフトウェアが日本でも導入が進んでいるように、データの活用の仕方について知る上でも良書である。

2011年5月 9日 (月)

「琉球ゴールデンキングスの奇跡(木村達郎)」

日本のプロバスケットボールリーグであるbjリーグを舞台にした、沖縄に本拠地を置く琉球ゴールデンキングスの構想から設立、2年目でリーグ優勝を成し遂げた舞台裏をGMが記した本である。

資金面での苦労もさることながら、東京都出身の木村氏が沖縄県民に心を開いてもらうための努力、チーム運営や戦力強化のための人材登用など、情熱だけではなくマネジメントや人柄の面も読んでいて引き込まれてしまう。

Bjリーグ自体全国紙で大きく扱われることも無く、存在自体を知らない人は多いと思うが、「地域密着をするとは具体的にどのようなことか」、「なぜ沖縄なのか」「地元の人や選手・チームは何が得られるのか」と言うことが具体的にイメージできるようになる本である。


経済的な利益を超えた理念や目標を明確に持ち、ぶれことなく困難を乗り越えて進む姿から、「自分は今の仕事で何を残すことができるか、どのように社会に貢献できるのか?」を問いかけると共に、その重要性を教えてくれる良書である。


bjリーグや日本バスケットボール界の知識は一切不要であり、むしろ何も知らない人の方が良い衝撃を受けることで出来る。

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