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2011年5月16日 (月)

28年目のハーフタイム(金子達仁)


1996年アトランタオリンピック、サッカー日本代表を取り巻く周囲やチーム内の現実を描いた作品。

Number掲載の「叫び」(川口能活のインタービュー)で知られざるチーム事情を書き、特定の選手がチームのためではなく個人のためにプレーしていたなど、衝撃的な内容で「よくここまで聞き出せた」と大御所ライターを唸らしたこの作品が生まれた発端である。


選手の悪口や暴露記事では決して無かったものの、本質を誤って理解した読者も含めてあまりの反響の大きさから、改めて多くの人にインタビューを重ねて年末号に「叫び」を掲載し、金子達仁氏はミズノスポーツライター賞を受賞している。

その2作品を加筆修正して、書籍化されたのが本書である。

ポジションによる意識のギャップ、監督と選手を巡る「ハーフタイム」での事件など、チームが最後は崩壊寸前であった知られざる事実、人間模様に圧倒される。


一次リーグでブラジルに勝利するという歴史的快挙を達成したものの、ナイジェリアに敗れ、ハンガリーに勝利したものの得失点差でリーグ突破はならなかった。

しかし、その善戦は日本国内でも十分に讃えられたことは、当時を知る人は覚えていると思う。


小倉という絶対的なキャプテンを予選で失い、前園・中田英寿・川口能活・松田など個性あふれる選手達と西野監督それぞれが「世界」に対する皮膚感覚や目標が異なっていたこと、それが最後まで纏まらなかったことは、決して悲劇でないと指摘する金子氏の考えや本音を引き出すインタビュー力には脱帽である。


組織である以上、どこにもで起こりうる話であり、読者の置かれている環境でも十分に活かせるヒントがあると思う。

尚、参考までに「叫び」は「Sports Graphic Numberベスト・セレクション〈1〉」に収録されている。
私は山際淳司氏の「江夏の21球」と共にNumberを代表する作品だと思っている。



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